「え~本当に80歳ですか?」と聞き返してしまうほど元気な方がいます。
「若い自分より元気、、、、」とちょっとへこんでしまうほど元気な高齢者が皆様の周りにもいると思います。
おじいちゃん、おばあちゃんと呼ぶのが失礼なくらい若々しく、うらやましくなってしまいますね。
そんないつも元気な方ですが、話を聞いてみるとやはり健康でいる為に意識していることがあるそうです。
元気の秘訣を聞いてみると共通していることは、「食事」と「適度な運動」です。
やはり、いくつになっても「食事」と「適度な運動」は、健康維持には欠かせないということですね。
それでは、その運動と食事管理ですが、65歳前と以降では注意ポイントが変わる為、内容を変える必要があるのをご存じでしょうか。
なぜ、変える必要があるかというと65歳前後をさかいに、筋力低下が急激に進むからです。
それに加え栄養のバランスが崩れると低栄養になりサルコペニアに進んでしまいます。
しかし、年齢にあった食事と運動を知り、早い時期からサルコペニア予防に取り組めば「え~本当に80歳ですか?」と聞き返してしまうほど元気な高齢時期を過ごす事だってできるのです。
今、話題となっているサルコペアですが、今回は、元気な高齢者になる為のサルコペニア予防を紹介します。
サルコペニアの予防
サルコペニアの予防は、「運動習慣」と「栄養管理」の2つを並行して行います。
「運動習慣」と「栄養管理」は相互作用なので、どちらか一方だけでは、ダメということを覚えてくださいね。
また、「食事はしっかりとれているけど運動があまりできていない」場合と「糖尿病といった持病を持っている」場合で注意するポイントを以降で説明しますので、自分は当てはまるか考えてみてくださいね。
サルコペニアに関する詳細は下記をご覧ください。
サルコペニアとは食事はとれているが運動量が少ない場合
食事はしっかりとっているけど運動量が少ない場合は、サルコペニア肥満の注意が必要です。
食欲があるので、ご飯やパン、うどんといった炭水化物をつい多く摂取してしまいます。
炭水化物(糖質)は、体を動かすエネルギーなので、エネルギーの素である炭水化物を摂取すること自体は問題ないのですが、運動量以上に摂取すると使われなかった炭水化物が脂肪に蓄積されてしまいます。
サルコペニアの高齢者は、筋肉が少ない状態ですが、この状態で脂肪が増えると筋力が無くて体重が増えるというサルコペニア肥満が進んでしまいます。
サルコペニア肥満の高齢者が運動をする場合には膝や腰に負担をかけない方法で運動量を増やす必要があります。
何故なら体重があり、筋力がないと立ち上がった場合や歩く際に、膝や腰に負担がかかるからです。
その結果、運動はおろか外出する回数も減り更に筋力が落ちるという悪循環に陥ってしまいます。
持病を持っている場合
持病を持っている方は、持病とのバランスを考えた食事管理が注意するポイントです。
「糖尿病」「脂質異常症」「心不全」「高血圧」「心臓病」といった病気は高齢者がかかっているケースが多く、これらの病気には症状悪化を防ぐ為に「食事制限」されていいます。
その結果、筋力をつける為の栄養を取ることが難しい場合があるのです。
その為、持病を持っている場合には、どのような栄養をどれだけ摂取してよいのかをまず把握することが重要です。
特に筋肉を増やす為に必要なタンパク質をどれだけ摂取できるかは重要事項なので、何をどれだけ食べてよいかをしっかりメモしておきましょう!。
なぜ、運動と栄養管理の両方が必要なのでしょうか?
ここで、質問です。
なぜ、サルコペニアの予防に運動と栄養管理が必要なのでしょうか?
その理由は、運動と栄養管理により筋力を増やす為です。
特に下肢の筋肉(太ももやふくらはぎの筋肉)を増やします。
下肢の筋肉は、「立つ」「歩く」に必要な筋肉なのですが、「立つ」「歩く」をひとりで行えなくなると運動量が減り、サルコペニアが重篤化していきます。
ひとりで歩いて移動できないと、行動範囲がいっきに狭くなり社会との接点も徐々に少なくなってしまいます。
こう考えると、元気の秘訣は「自分で立って、歩ける」事ではないかと私は思います。
元気を維持する為にも、筋力をつける必要があるのですが筋力は脂肪のように栄養をとれば増えるわけでは無く、一定の運動を行うことで初めて増えて行きます。
筋力を増やすには、筋力に負荷をかけて筋肉内にある筋繊維に傷をつける必要があり、その傷ついた筋肉を修復する際に筋肉が大きくなるのです。
そして、筋肉の修復に必要な栄養がタンパク質というわけです。
いかがでしょうか。なぜ、運動と栄養管理の両方が必要かご理解頂けたと思います。

食事による予防方法
タンパク質を知る!
筋肉を大きくする為には、タンパク質が必要なのは理解いただけたと思いますが、もう少しタンパク質のことを知っておきましょう。
タンパク質は「ホエイ」「カゼイン」「卵白」「大豆タンパク」「小麦タンパク」の5種類に分かれています。
また、この5種類は「動物性たんぱく質」と「植物性たんぱく質」の2つに大別されています。
5大タンパク質の中でも筋肉を増やすという観点から行くと、「ホエイ」が優秀なタンパク質です。
ホエイは、筋肉の修復に効果的なタンパク質で、且つ筋肉に早く吸収される為、運動後の栄養補給には効果の高いタンパク質と言えます。
数値でも必須アミノ酸が多く含まれている為、筋肉に限らず体を形成する為の栄養としても摂取は必須と言ってもよいです。
動物性タンパク質 | |||
---|---|---|---|
ホエイ | カゼイン | 卵白 | |
必須アミノ酸 | 50.9 | 45.1 | 44.7 |
BCAA | 25 | 23 | 22 |
ロイシン | 11.1 | 10.4 | 8.9 |
植物性タンパク質 | ||
---|---|---|
大豆タンパク | 小麦タンパク | |
必須アミノ酸 | 38.1 | 29.3 |
BCAA | 20 | 16 |
ロイシン | 8.2 | 7.5 |
この数値を見ると、やはり、ホエイが豊富に含まれている食品を積極的に摂取するとよいことが分かります。
では、ホエイが多く含まれている食品は何でしょうか。
それは、「牛乳」です。
ただ、牛乳のタンパク質のうち20%程度しかホエイは含まれていません。
そして、残りの80%は、カゼインなのです。
もちろん、タンパク質摂取として、牛乳は非常に優秀な食品なのは間違いありません。
それでも「そんな栄養豊富なホエイを何とか食品でとりたい!」という場合には、ヨーグルトが良いです。
そして、重要なのはヨーグルトから染み出ている上澄みの透明な液体です。
なんとあの透明な液体がホエイなのです。
ホエイは、「飲む点滴」と呼ばれるほど、栄養が高く「乳清」とも呼ばれています。
ただ、残念なことにあの液体を嫌がって、捨ててしまう子もいます。
実は、あの液体こそ摂取すべき栄養だったのです。
是非とも、ホエイも一緒に食べてもらいたいので見た目は悪いですが、ヨーグルトをスプーンで混ぜてから透明な液体を一緒に食べることをお勧めします。
タンパク質で筋肉を修復
タンパク質が多く含まれている食品は下記となります。
- 肉類
- 魚介類
- 卵類
- 大豆製品
- 乳製品
食品のラベルには「タンパク質」がどれくらい入っているのか表記されていますが、牛乳以外はほとんどが「グラム」による重さの表記だけなのでどれだけ入っているのかわかりませんよね。
下記が100gあたりのタンパク質含有量となります。
食品 | タンパク質(グラム) |
---|---|
無脂肪・低脂肪ヨーグルト(1食目安110g) | 4.0g〜12g |
無脂肪牛乳(コップ1杯200ml) | 8.5g |
枝豆 (100g) | 11.5g |
豆腐(100g) | 6.5g |
マグロ刺身(100g) | 21〜25g |
ツナ缶(1個) | 16〜18g |
鶏むね肉(100g) | 24g |
鶏ささみ(100g) | 24g |
豚ヒレ(100g) | 22g |
また、摂取量の目安は、体重1kgにつき、1日1.2gのたんぱく質を摂取する必要があります。
【計算例】
体重60kgの場合
60 × 1.2 = 72gのタンパク質
相性の良い食材を知りましょう!
肉、魚、大豆でタンパク質を摂取することができますが、より効果的に吸収されるために、相性のよい食材を調理に加えることをお勧めします。
例えば、お肉の場合は、玉ねぎやニンニクです。
お肉は、ビタミンB1が豊富ですが、玉ねぎと一緒に食べると玉ねぎに含まれるアリル化合物がビタミンB1と結合して安定して代謝を促します。
その結果、ビタミンB1の持つ「新陳代謝の促進」や「疲労回復」の効果がより高まります。
では、具体的な料理はどんなものでしょうか。
例えば、豚肉の生姜焼きです。
夏バテによく食べられている理由が納得です。
ただし、味を濃くすると塩分のとりすぎになるので塩分量に注意しましょう。
また、植物性タンパク質は、動物性に比べタンパク質の量が少ないですが、動物性たんぱく質と一緒に食べることで、効果が増す為、食事には「冷ややっこ」や「納豆」を加えると効率的にタンパク質を摂取することができます。

運動による予防方法
運動には2つの種類があります。
- 有酸素運動
- レジスタンス運動
有酸素運動に関する詳細は下記をご覧ください。
有酸素運動とは有酸素運動は、脂肪を燃焼することに向いている為、ダイエットに向いている運動です。
散歩やウォーキング、水泳がよく例として取り上げられます。
高齢者の場合は、少し遠いスーパーに買い物がてら散歩する程度から始めることをお勧めします。
レジスタンス運動は、筋肉を大きくすることを目的にした運動です。
筋肉に負荷をかける運動なので、高齢者が行う場合には、注意点が2つあります。
- バランスを崩して転倒しないように誰かにサポートを依頼してください
- 少し軽めぐらいを目途に運動を行ってください
ダンベルを使った筋トレでなければ、筋力が増えないと思われがちですが、決してそうではありません。
小さな負荷運動でも、長く行うことで大きな負荷と同等の効果が期待できますので、ゆっくりじっくり長く行ってください。
それが、安全に効果を出す秘訣です。

どの筋肉を鍛えるの?
サルコペニアの予防運動としては、下肢の筋肉と腹筋を重点的に鍛えます。
その為、具体的には、スクワットや腹筋運動を行います。
スクワットも腹筋運動も、1度に多く行う必要はなく初めは10回程度をゆっくりと行うことが重要になります。
なぜゆっくり行うことが重要かと言えば、ゆっくり行うことで筋肉に負荷がかかっているのを意識することができ、且つバランスを崩すことが少ないからです。
注意事項としては、高齢者の場合、過度な運動は転倒による骨折を招きかねない為、過剰に行わず、少し筋肉が疲れてきたかなという程度を毎日行ってください。
また、筋肉は、休ませないと逆に減ってしまう為、筋肉通を感じた場合は運動を1日程度休むことも重要です。
筋肉をつける運動方法
レジスタンス運動
筋肉をつける運動方法は、椅子を使ったスクワット運動です。
椅子を使ったスクワットなら膝に負担をかけずに太ももに負荷をかけることができます。

- 椅子の前で両腕を前に出して立つ
- 両腕を前に出したままゆっくり座り込む
- おしりが軽く椅子に触るぐらいまでスクワットをする
- またゆっくり立ち上がる
ポイントは、2つです。1つ目はゆっくり行う。
2つ目は、太もも、ふくらはぎに力をが入っていることを意識して行うことです。
バランスを崩す為、目線は、まっすぐ正面を向きましょう。
5秒程度で座り込み、2秒程度とまって、また5秒程度で立ち上がります。
椅子におしりをべたっとつけず、静止します。
この運動を1回10回を朝昼晩の3セット行っていきましょう。
適した運動量は個人差があるので、どの程度とは言いにくいですが、筋肉に少し疲労感が残る程度を目途にしてください。
思ったより、筋肉を使う運動なので、初めは数回でも構いません。
すこしずつ回数を増やす意識で取り組んでください。
有酸素運動
レジスタンス運動にプラスして、有酸素運動も心がけましょう。
お勧めの有酸素運動は、ウォーキングですが、まずは散歩から始めてください。
ポイントは、歩き始めてから、20分以上は続けることです。
体の脂肪が燃焼されるのが20分を超えてからなので、その前に辞めてしまうと脂肪燃焼という観点からは期待の効果が出ません。
歩くことになれて来たら、ウォーキングを行うことをお勧めします。
ウォーキングの場合は、呼吸法と自分に合った靴選びがポイントです。
下記を参考にしてください。
詳細は下記をご覧ください。
長く運動する為の呼吸法運動の後の栄養補給
少し汗ばむ程度の運動の後30分間は筋肉が栄養を吸収しやすい状態です。
その為、運動後の栄養補給は効果的に筋肉を増やすことができます。
そこでお勧めなのは、ヨーグルトです。
ヨーグルトに含まれるホエイは、体への吸収が早い為栄養補給に適しています。
上記でも説明しましたが、ポイントはヨーグルトの上澄みの透明な液体も一緒に食べることです。
まとめ
今回は、サルコペニアの予防に関してまとめました。
「食事」と「適度な運動」がサルコペニアの予防ですが、「食事はしっかりとれているけど運動があまりできていない」場合と「糖尿病といった持病を持っている」場合で注意するポイントがあることを説明しました。
また、元気の秘訣は、自分で「立ち」「歩く」ということです。
その為には、栄養をしっかりとり、太ももやふくらはぎの筋力を維持していくことがポイントになります。
筋力を増やす具体的な運動は、「椅子を使ったスクワット」と「散歩やウォーキング」のような有酸素運動です。
運動後はヨーグルトによりたんぱく質補給をおこない「え~80歳ですか!」と驚かれる程の若さと元気を手に入れましょう!