今、注目されているフレイルの意味をご存じですか?

今、注目されているフレイルの意味をご存じですか?

フレイルは、海外からの来た言葉で、もともとは、フレイルティでした。

「虚弱」と日本語訳されますが、あえてフレイルという日本独自の表記にしていることを知っていましたか?。

実は、フレイルと表記されるようになった理由には、ある思いが込められているのです。

また、なぜフレイルが、注目を集めているのでしょうか。

その理由は、フレイルの認知を広げることが高齢者社会の介護予防対策になるからです。

日本は今後少子高齢化が更に進み、高齢者を介護する家族や行政への負担が更に高くなります。

介護ストレスで、妻や、母親を殺してしまったという痛ましい事件もあり、介護ストレスは今や社会問題となっています。

このような社会問題を解決する為には、介護者をケアするだけではなく、介護が不要な健康な高齢者を増やす必要があるのです。

その為には、60歳代から介護の必要ない体づくりを意識してもらう必要があるのです。

ただし、高齢者に「自分の健康は自分で管理してね」と言うのは無理があります。

その為、並行して、個人の自助努力だけではなく「地域で高齢者をケアする社会」を作る必要があります。

以降では、フレイルに込められた思いや、予防対策、そして地域で高齢者をケアする地域包括ケアを説明します。

フレイルに込められた意義

フレイルは、日本語訳で「虚弱」と表記されています。

虚弱は、「体が弱く病気になりやすいこと」なので、高齢者が年をとると体が弱くなり病気になりやすいことを意味しています。

実は、フレイルは日本独自のカタカナ表記であり、海外の老年医学分野では、「Frailty(フレイルティ)」なのです。

フレイル

「フレイルティ」ではなく「フレイル」になったことには理由があります。

フレイルと表記されるようになった理由

Frailty(フレイルティ)という考え方が日本に入ってきた時には、「虚弱」「老衰」「衰弱」「脆弱」という和訳でした。

「虚弱」「老衰」「衰弱」「脆弱」という言葉は、「体調が悪くなる」というイメージで「元気にならない」という印象です。

しかし、Frailty(フレイルティ)には、「しかるべき介入により再び健常な状態にもどる」という意味も含まれています。

その為、「虚弱」「老衰」「衰弱」「脆弱」という言葉ではなく、「予防することの重要性」を広げる為に「フレイル」と表記しようと日本老齢医学会が、平成26年5月にプレスリリースした言葉です。

参考文献
「フレイルの意義」より
フレイルに介入

フレイルとは

加齢に伴う様々な機能変化や予備能力低下によって健康障害に対する脆弱性が増加した状態

フレイルは、年をとったことで体が弱くなる状態であり、特定の病気のことを指しているわけではありません。

加齢により体が弱ってくる状態(フレイル)は弱り始めた時から徐々に症状が重くなってくるまでの一定の期間続き、健康状態から介護を必要とする年齢までの中間期間とも言えます。

年代別フレイル図

高齢者は、みんなフレイル?

フレイルは「年をとったことで体が弱くなる状態」なので「年をとったら仕方がない」と思われますが「自然な衰えである老化」と「フレイル」は分けて考えます。

もりもり食べて栄養がとれ、適度に運動できる高齢者がいます。

ちなみに、高齢者には2つの区分があります。

65歳以上、75歳未満の人を前期高齢者と呼び、75歳以上から後期高齢者になります。

高齢者と言っても元気な方が多いですが、遠くが見えずらい、階段を上るのがつらい、長い時間動くと疲れるといった「自然な衰えである老化」は、どうすることもできません。

ですが、元気です。

フレイルの高齢者は、食事があまりとれず、栄養が不足している状態です。

しかし、栄養が取れるようになり体力が戻れば、依然と全く同じではなくても健康な日々に戻る可能性もあります。

フレイルだと、「もうよくならない」と思うのではなく、介護者が適切に対応(介入)することで高齢者が健康な日々に戻れる、或いは進行をゆっくりにできると理解することが大切です。

元気な高齢者とフレイルな高齢者

フレイルの原因

フレイルになる原因は、様々考えられますが、キッカケは、社会とのかかりが薄くなることです。

具体的には下記が挙げられます。

社会とのかかりが薄くなるケース
  • 仕事がなく、特にやることもない
  • 引っ越しなどで環境が変化した
  • 家族や親戚、友人に会える機会が少ない
  • ケガをして外出できなくなった
  • 配偶者や子供の死がキッカケで外出したくなくなった

高齢者の場合、社会とのかかわりが薄くなってしまうと、外出する気力がなくなります。

次第に、誰かと話もせず家にいることが多くなり食欲は落ちていきます。

十分な栄養が取れず体の筋力も徐々に落ちていき、動くことがつらくなると更に家に閉じこもります。

家に閉じこもり続けると体を動かす量がさらに減り食欲も落ちるという悪循環になってしまいます。

その結果、筋力が落ち体の抵抗力が落ちてフレイルになります。

元気な高齢者とフレイルな高齢者

フレイル基本チェックリスト

フレイルの予防には、予防が必要な高齢者を早い段階で発見し、対応を行うことが重要です。

早期発見の為に「介護予防のための生活機能評価」を定め、特定高齢者の候補であるのかを判断する為に基本チェックを行います。

予防が必要な高齢者
生活機能が低下し要支援・要介護状態になるおそれのある高齢者のことで、特定高齢者と呼びます。

特定高齢者の候補者かは下記ページで確認していただけます。

詳細は下記をご覧ください。

特定高齢者の候補者かどうかを判断

フレイル予防の対応

フレイルになる前には1段階期間があります。

それがプレ・フレイルで、フレイル予備軍です。

プレ・フレイルでは、介護がまだ必要でない状態で、予防をすることでフレイルになるのを防ぐ或いは遅らせ、介護が必要な状態にならないよう事前に対応を行います。

プレ・フレイルの予防

プレ・フレイルでは、自分で歩け、自分の口で食べることができます。

重度の認知も見受けられない為、コミュニケーションをとることも可能です。

その為、早期予防としては「しっかり歩く・動く」「しっかり噛んで食べる」「社会性を保つ(家に引きこもらない)」の3つが重要になります。

フレイルの予防

健康な高齢者は、よく食べて、よくしゃべり、そしてよく笑います。

笑う為には、元気が必要なので、たくさん食べて必要な栄養を取ることが重要です。

よく食べる高齢者

フレイルになった場合の改善方法

フレイルになると、全ての高齢者ではありませんが、要支援1/2~要介護1/2の要介護認定を受けています。

要介護認定を受けている高齢者は、介護が無ければ日常生活に支障が出ています。

少しでも自分のできることを増やし、体を動かすことがポイントになります。

対策としては、リハビリを行い、自分の口で物を咀嚼して食べ、栄養をしっかりとれるようにします。

この時期は、特に口で物を食べられることは非常に重要です。

なぜなら、自分の口で食べないと食欲が上がらず気持ちが落ち込んで行く傾向が強くなるからです。

この現象及び過程を、オーラルフレイルと呼びます。

そして、介護を受けながらでも外出して、多くの人に接する機会を増やすことが必要です。

元気な高齢者とフレイルな高齢者

オーラルフレイルとは

老化が進むと口で食べることが難しくなります。

その理由は、歯を失うことが大きな要因ですが、高齢者になるとなぜ歯を失うことになるのでしょうか。

歯を失う理由には大きく2つあります。

1つは、自分で歯を磨く等の口腔ケア(口の中のケア)が若い時ほどできていない。
ブラッシングが不十分で、歯周病や虫歯になり、歯医者で抜歯をするケースです。

もう1つが、老化で唾液の量が減るからです。

唾液が減り、口腔が清潔に保てず菌が増えます。

その結果、歯周病や虫歯につながります。

歯が抜けることで柔らかいものしか食べず、必要な栄養を充分とることが難しくなります。

更に歯の本数が減り、かむ力や舌の動きが弱くなると咀嚼(そしゃく)に苦労し食べることが煩わしくなります。

その結果心身の機能が低下していき、最終的には食べる機能障害へ陥ります。

この食べる機能障害に陥る一連の現象および過程をオーラルフレイルと呼びます。

口に関する些細な衰えはフレイルが進むアラートなので、高齢者の食欲が落ちているときは注意が必要です。

フレイル予防には、地域全体での支援が欠かせない

フレイルのキッカケは、社会とのかかわりが薄くなるところから始まります。

その為、地域全体で高齢者同士のつながる接点づくりやコミュニティーを促すことで、高齢者同士のつながりを広げていくことが重要となります。

高齢化が進む日本では、高齢者が少しでも自分でできることは自分で行える健康づくりが重要になります。

その為に、地域包括支援センターを配置することで地域に根差した日常生活支援が不可欠になっています。

地域包括ケアシステムとは

地域包括ケアシステムに関する詳細は下記をご覧ください。

地域包括ケアシステムとは

まとめ

フレイルは、日本老齢医学会が発表した日本独自のカタカナ表記です。

一度フレイルになってしまったら治らないというマイナスのイメージではなく、「改善」されるという希望が言葉に含まれています。

その理由は、フレイルになってしまっても運動や栄養管理で介護の必要ない健康な体を取り戻すことができると理解してもらいたいからです。

また、高齢者個人の自助努力だけでは、難しい為、地域全体で高齢者をケアすることが重要です。

何故なら、人は、社会とつながっていることは、心理的・精神的な支えになるからです。

いかがでしょうか。

フレイルという概念が広く認知されることが少子高齢者社会の日本でなぜ重要なのかわかっていただけたでしょうか。